11月の星空

2016_11_chart_c 11月ごろになると天頂付近にはペガスス座の胴体にあたる秋の四辺形がならび、そして東の空には早くもぎょしゃ座おうし座など冬の星座たちが姿を現しはじめています。一方で天頂から北よりの空には秋の代表的な星座であるカシオペ ヤ座の「M」のような星のならびを見つけることができるでしょう。さらにカシオペヤ座の東側にあるペルセウス座にはアラビ ア語で「悪魔」を意味するアルゴルという星(変光星)が輝いています。
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食変光星の変光のイメージ.
アルゴルは「」と呼ばれる一方の星が片方の星を隠す現象によって(右図)、明るさが 2.1 等から 3.5 等へジワジワと暗くなります。この星は約2.87日の周期で公転する連星系として知られ、「食変光星(食連星)」という分類の代表ともいうべき天体です。2016 年 11 月は アルゴルの食を3 回観測できる好機があり、特に 17 日の19 時ごろか ら深夜にかけての食が最も観察しやすいでしょう。アルゴルは食開始から食終了まで約10時間もあるので、観察をする場合は極小予報の5時間くらい前から数十分おきにでも星の明るさをチェックしてみると良いです。そのとき、アルゴル周辺にある明るさの似た星と見比べると、変光の様子がわかりやすくなります。 なお科学センターの発行物として「11月の星空案内」も公開されました。こちらもぜひ合わせてご覧ください! ・アルゴルの極小予報(2016年11月; 33時間制表記)
日付 時間 (JST) 高度
2016/11/14 27:21 46
2016/11/17 24:10 79
2016/11/20 20:59 63
(注)この予報は筆者が独自に計算したものです。あくまで目安としてお使いください。

世にも奇妙な星(1)

皆さんは夜空の星々を見ていて、何か奇妙な体験をしたことはありませんか?例えば、「あれ?あそこに、あんな明るい星があったかな?数ヶ月前に観察したときには見えなかったような・・・」という感じで。そういえば、そこまで注意深く星を見たことがないなぁという方は、以下の別々の日に撮られた2枚の写真をよ~く見比べてみてください。これははくちょう座の首に位置するη(エータ)星からクチバシに位置するアルビレオのあたりを撮影したものです。

別々の日に撮られたはくちょう座の首(η星)からクチバシ(アルビレオ)のあたりの比較.
はくちょう座のη星からアルビレオのあたりの比較写真.

とても多くの星が写っているので、ヒントとして黄色い円を描いています。そのあたりを見比べると、2016年5月には写っていなくて、2016年10月には写っている星があります。さて、この奇妙な星の正体とは一体何なのでしょうか?(どの星か見つけられなかった方は本記事の最後の図をご覧下さい!)

この奇妙な星の名は「はくちょう座χ(カイ)星」と言い(ついアルファベットのエックスと読みたくなるところですが、これはギリシャ文字なので「カイ」と読むのが正解です)、これまでの観測記録によると、暗いときは約14等で息をひそめ、明るいときは3等台にまで明るくなる星なのです。つまり最大で明るさが約2万4千倍も変化します。そのため、はくちょう座の天体写真を撮って、写真と星図を比較しながら星座線を引いてみようとすると、撮影した時期によっては「あれ?χ星が見当たらない」なんて経験をした方もいるのではないでしょうか。

宇宙にはこのように、よ~く観測をすると明るさが変化する星がたくさん存在し、そのような星々を変光星と言います(以前、10月の星空でも触れました)。星によって変光の原因は様々ですが、このはくちょう座χ星は星自身が膨張したり収縮したりすることで明るさが変化する、脈動型変光星として知られています。なお、この星は歴史上、アルゴル(ペルセウス座)やミラ(くじら座)に次いで3番目に変光星として発見された星でもあります。

はくちょう座χ星は約408日の周期で明るさが変化し、2016年は9月中旬に極大を迎える予報となっていました。ただ、極大の明るさや極大日というのは観測をし続けていないとわからないもので、日本変光星研究会の報告 (会誌 No. 286) によれば、今年の極大は9月上旬で明るさは5等台だったようです。ちなみに10月下旬現在では、約6等星なので双眼鏡でもまだ見ることができるでしょう(参考: VSOLJ Light Curve Generator)。これからジワジワと暗くなってくるので、双眼鏡や望遠鏡をお持ちの方はどこまで観測できるのか、チャレンジしてみるのも良いかもしれません(はくちょう座は12月くらいまで見えます)。

変光星の世界は明るさがジワジワと変化するだけなので、とても地味に感じるかもしれませんが、その奇妙な「変化」は私たちに「なぜそんなことが起こるの?」という知的好奇心や想像力を刺激してくれる大変面白い分野です。コツコツと変光星の観測してみると、まるで自分で植えた植物の種の成長を見守るようでもあります。

さて、今回は「世にも奇妙な星」シリーズの第一回目として、はくちょう座χ星の話題を取り上げました。ちょっとマニアックかもしれませんが、「え?そんな変な星がいたんだ!」と、いつもとは違った視点で夜空を眺めるきっかけになれば幸いです。次回もお楽しみに!

星の動き

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=aaMDO-2ovzY]

皆さんは「星の動き」を体感したことはありますか?これは実は小学4年生で学習するテーマの一つでもあります。夜空の星々は地球の自転にともなって、天の北極(北極星のあたり)を中心として反時計周りに動いていきます。角度にして1時間に約15度も動くので、1時間おきにでも空を観察すると、街中に住んでいても星さえいくつか見えれば、簡単に星の動きを体感できるでしょう。

しかし、それはちょっと時間もかかるし大変だなぁ、と思われた方もいるかもしれませんね。そして天体観測はお天気にも左右されてしまいます。そんなときは是非、上の動画を再生してみてください!約4時間にわたる星の動きをタイムラプス動画として、たった20秒くらいで見ることができます。カメラは北の空に向け(北極星も写し)、特徴的な星座としてカシオペヤ座が動いていく様子を撮影しています。

なお撮影は今年の10月上旬に行い、科学センターで実施しているセンター理科学習において、早速この動画を利用しています。詳しい撮影データは以下の通りです。

### 撮影データ ###

撮影日:2016年10月6日
撮影地:徳島県海部郡美波町
露 出:15秒 (インターバル30秒)
感 度:ISO 3200
カメラ:EOS kiss Digital X7i
レンズ:Tokina Fisheye 10-17mm F3.5-4.5 DX

国際宇宙ステーションを見てみよう!

科学センターで撮影した国際宇宙ステーションの軌跡 (撮影: 2016/10/18)
科学センターで撮影した国際宇宙ステーションの軌跡 (撮影: 2016/10/18)

現在、上空約400 km にある国際宇宙ステーション (以下、ISS) には日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんが滞在されています。2016年7月から始まった滞在も10月16日 に100日目をむかえ、予定されている約4ヶ月のミッションも後半戦に入っているようです。

さて、そんな日本人宇宙飛行士が乗る ISS を地上から見てみませんか?発表されている ISS の予報データを見ると、10月中に徳島で観察がしやすいのは、10月20日の日没後(18:25~18:30)となっています。この日 ISS は北西の低空から見え始め、アルタイルの少し南側を通り、そして南東のフォーマルハウトほうへ消えていきます(下の星図も参考にしてください)。観察できる最大高度は約54度となり、明るさは約1~マイナス2等で見えるので、街明かりの強い場所であっても空の開けた場所であれば、容易に肉眼で観察することができるでしょう。

2016年10月20日におけるISS の軌跡 (ISS のデータは JAXA より)
2016年10月20日におけるISS の軌跡 (ISS のデータは JAXA より)

なお20日以後、徳島で ISS の観察は10月22日も可能ですが、この日は最大高度が20度以下になるため、20日のほうが観測条件はかなり良いです。その後は11月になれば明け方にISSが見られますが、このころ大西宇宙飛行士は地球に帰ってきているかもしれません。つまり、大西宇宙飛行士が滞在中のISSを見るには、10月20日が最適だと思われます。皆さん是非、同じ日本人として ISS の観察にチャレンジしてみてくださいね。

 

[参考資料]

宵の明星

宵の明星 (2016/10/10)
宵の明星 (撮影: 2016/10/10)

最近、日が暮れてから西の空低空を見ると一番星として目立つ金星を見つけることができます。仕事や学校帰りなどで目にしている方もいるのではないでしょうか。金星はこれから年明けにかけて少しずつ観測できる高度も高くなり、より観察しやすくなってきます。なお現在、金星には日本の惑星探査機「あかつき」が周回し、金星の表面を詳細に観測中です。これからいったいどんな科学成果をもたらしてくれるのか楽しみですね。

ダブル・スター

10月9日に特別観望会として「宇宙の宝石・ダブルスターを観察しよう」を行いました。ダブルスター (double star) とは日本語では二重星と言い、肉眼では一つにしか見えない星が、望遠鏡を通して見ると二つに見える天体のことを指します。寄り添うように二つの星が輝く姿は宇宙の宝石を見ているようでもあります。

当日は秋の夜空とダブルスターに関するお話のあと、観察をスタート。あいにく雲に邪魔され、予定していた観察対象の 1/3 しか見れませんでしたが、約20名のお客様にダブルスターの姿をお届けすることができました。イベントとしては、また季節を変えて冬か春にリベンジしたいと考えています。なお、今回のイベントで観察したダブルスターは以下の通りです (間隔の数値が小さいほど、二つの星の間隔が狭く見えます):

星名 等級 間隔 (秒角)
アルビレオ 3.1 & 5.1 34″
いるか座γ (ガンマ) 星 4.5 & 5.5 10″
アルマク 2.3 & 5.5 10″
ケフェウス座ξ (クシー) 星 2.3 & 5.5 8″

アルビレオは「はくちょう座」、アルマクは「アンドロメダ座」に位置する天体です。ちなみに以下のようなダブルスターも雲がなければ見る予定でした:

  • はくちょう座16番星
  • はくちょう座61番星
  • ヘルクレス座α (アルファ) 星 = ラスアルゲティ
  • ヘルクレス座κ (カッパ) 星
  • こと座ζ (ゼータ) 星
  • WWスター (こと座)
  • わし座57番星
  • おひつじ座γ (ガンマ) 星

PS. 【阿南市科学センター / 二重星ギャラリー】もあるよ (^^/