日亜プラネタリウムの外観.
寄贈に関する銘板.

 2026年4月17日、阿南市科学センターにてプラネタリウムドーム寄贈に関する式典が執り行われました。寄贈者は一般社団法人 日亜ふるさと振興財団 様です。式典には財団の矢野副理事長ならびに岩佐市長が出席し、併せて日亜化学工業社員、地元の市議会議員や県議会議員、市小学校校長会代表、松浦建設社長のご臨席を賜りました。式典では財団から目録の贈呈が行われたのち、市長から財団へ感謝状が贈られました。

目録の贈呈. 日亜ふるさと振興財団副理事長 (右) と阿南市長 (左).
除幕式. 平島小学校6年生代表児童らとともに.
除幕後に参列者と記念撮影.

 除幕式にあたっては、地元の市立平島小学校6年生の代表児童らも参列しました。除幕後は記念撮影を経て、新しいプラネタリウムドーム内で試写会が行われ、参列者ならびに同小学校6年生約40名と教員にご観覧いただきました。

 本件は日亜ふるさと振興財団が「青少年が自然や科学に親しむ機会を一層充実させること」を目的として整備したものです。財団設立後、公募助成開始 10 周年を記念する取組みとしても位置付けられています。このご厚意に対し、本ドームは「日亜プラネタリウム」と命名され、地域の教育・普及活動のメインコンテンツとして、大切に活用させて頂く所存です。

 式典後は4月18日、19日にリニューアルオープンとして利用無料期間を設けました。この二日間で283人の利用、続いてゴールデンウィーク期間の5月3日~5日には449人の利用がありました。科学センターは普段、親子連れ (子ども) が主な客層ですが、リニューアルの報道が複数なされたことで、大人 (特にシニア) のお客様の利用も目立ちました。いずれの日程も1日4~6回の投映を行い (1回定員40名とし)、毎回定員の8割~満員に達する盛況ぶりとなった次第です。

 ちなみに、阿南市科学センターではこれまで、直径5mの布製エアドームを用いてきました(2011年導入)。しかし約15年にわたる運用で、ドームの劣化が著しい状態になっていました。また定員が20名であることに加え、布製のエアドームという特性から、ドームの揺れ、低い遮音性、送風・空調音が大きいことなど、常設のプラネタリウムとして投映環境の改善が望まれていました。なお当館では科学センター理科学習を基幹事業に据えており、1クラス30名規模の小学校を5mプラネタリウムで受け入れる場合は、特にこれらの問題点が顕在化していました。

旧・直径5mエアー式ドーム.
長年の使用で穴もたくさん. 継ぎ接ぎだらけでした.

 ここで、日亜プラネタリウムの特徴について触れておきましょう。本ドームは直径約 7m で(高さ約5.1m、床面積約38平方m、スクリーン面積約77平方m)、旧ドームより直径が約2mアップしたことで、床面積と半球スクリーンの面積は計算上約2倍にアップしました。これによって定員も約2倍となり、1クラス30人規模の小学校が利用するさいも、余裕をもって学習できるようになりました。さらに、特筆すべきは、本ドームは「ドームハウス」という国産の既製品 (ジャパンドームハウス製) を応用している点です。ドーム躯体の材料には特殊発泡ポリスチレンが用いられており、本来は屋外に建設する住宅なので、高い耐久性、遮音性、断熱性を備えています。

建設予定場所は写真中央の空きスペース (体験館・科学体験室). 元々は大型展示が設置されていたが、老朽化に伴い2023年度に撤去.
ドームハウスの材料の切れ端 (特殊発砲ポリスチレン). 見た目は発砲スチロールだが、とても固く頑丈にできており、厚みは約20cmある.

 なお日亜プラネタリウムの設計・施工は阿南市内にある 松浦建設 様が行いました。ドームハウスの施工実績を有する会社ですが、プラネタリウムへの応用という特殊な建物の建設は工務店として初の試みとなります。全国的にも先行事例や参考情報が乏しく(西日本では初事例)、設計段階からさまざまな課題が浮き彫りになりました。ドームスクリーン部の凹凸や継ぎ目の平滑化、スクリーンの色、音の反響対策、遮光性、床や壁の素材と色、換気と空調、照明・調光・色温度、コンセント位置などなど、プラネタリウムが投映・観覧できる環境として、最大限のご配慮・ご協力を頂いています。本プロジェクトは2024年頃からスタートし、財団と市で協定を締結したりする中、実際に現場で施工がスタートしたのは、2026年2月頃でした。そこから約2ヶ月で工事が完了し、寄贈式とリニューアルオープンに向け三者で様々な協議・準備も重ねてまいりました。

ドームが載る腰壁 (基礎ユニット) の設置.
北陸地方から無事にドームの全ピースが到着.
人力で各ピースを積み下ろし.
搬入口ギリギリのサイズ.
無事に搬入されたドームピース.
ドームピースをくみ上げる様子.

建設時のタイムラプス動画 (ATOM Cam2 で撮影)

 こだわりのポイントはやはりドームスクリーンの平滑化で(従来のドームハウスの建設では行わない作業)、職人さんの素晴らしい技術によって、とても美しい仕上がりとなっています。ドーム空間ゆえ、音の反響は避けられない部分がありますが、軽減対策として床は絨毯張り、腰壁の内張はクッション性のある素材が採用されました。絨毯を取り入れたことで、ドーム内は土足禁止となりますが、座席をあまり設けずに寝転んで観覧することもできる運用となっています。一方で、ドームの内周には半円状に複数に分割された可動式ベンチが設置されており、ベンチに座ればクッション性のある壁が背もたれとして活用できる点もイチオシです。さらに入退場に用いる足元灯の調光に加え、ドームスクリーンに様々な演出効果をもたらす間接照明も設置されています。

各ピースのジョイント直後の様子.
ジョイント部やスクリーン全体に対する下地の処理など.
目地処理. 接合部の膨張・収縮対策もあり.
職人さんの左官作業・塗装作業によって美しく整えられたドームスクリーン.
腰壁の内側壁面にはクッション性のある板が施工されています. 背もたれにもなり、完成後も1枚ずつ取り外し (交換) も可能で、メンテナンス性に優れる.
ドームスクリーンに青色の間接照明があたり、床の藍色と相まって、入場時から非日常的な雰囲気を楽しむことができる.

 ドームスクリーンに映し出される星空については、2021年に科学センターで更新したステラドームモバイル (AstroArts社製) というデジタル式の投映機を引続き使用しています。科学センターの一般投映のスタイルは1回 約30分、いつも生解説で実施しています。旧ドームの頃からお客様と解説者の距離が近いことをメリットと捉え、ときにコミュニケーションをとりながら、お客様の反応を見ながら、客層にあわせたアットホームな雰囲気の投映を心がけています。このスタイルはリニューアル後も継続し、直径20m前後の大きなプラネタリウムとは異なる体験がお届けできれば幸いです。

日亜プラネタリウム内でステラドームモバイルを投映している様子. このとき実は寝転がって観覧しているお客様もいる.

 最後になりましたが、日亜ふるさと振興財団 様には改めてここに厚く感謝を申し上げます。本件は財団のご支援、地域の工務店の設計・施工力、科学センターの役割が重なって実現した、地域性の高いプロジェクトでした。今後も地域にますます愛され、そして未来ある子どもたちの夢を育む施設として、日亜プラネタリウムとともに邁進してまいります。

参考情報など

■本件の報道

 ■ドームハウスを応用したプラネタリウムの事例

 調査した範囲では、ドームハウスを応用した類似事例として、東日本で少なくとも2例あり。1例は埼玉県内で、(株)アーキテクトと埼玉工業大学が2021年4月から共同研究を行い、半球ドームシアターとしての設備を整備しています(一般向けに広く公開されているものではなさそうです)。もう1例は、千葉県のロマンの森共和国に整備されていた「ロンちゃんのドームハウス」です。同施設は2019年9月に一般オープンしたプラネタリウムで、定員30~40名、投映機はコニカミノルタ社製 MEDIAGLOBE-Ⅲが用いられていました。しかし残念ながら、同施設は2023年10月の園内火災により全焼したと公表されています。
 つまり、2026年時点においてドームハウスをプラネタリウムに応用し広く公開・稼働しているのは、全国では阿南市科学センターのみと言えそうです。

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