
ちかごろ新型コロナウィルスに関連して多くの方々が心身ともにお疲れではないでしょうか。そんなきたる4月10日、宇宙では太陽に最も近い惑星「水星」への旅路が本格化し、様々な人たちの宇宙への思いが加速しています。
さて今回とりあげる、水星探査機ベピコロンボは2018年10月20日に打ち上げられ、約7年もかけて水星を目指します。その間、探査機はスイングバイと呼ばれる技術を駆使するのですが、これは惑星の重力を利用して探査機の向きや速度を変える技術で、ベピコロンボは計9回ものスイングバイを行う予定です(地球1回、金星2回、水星6回)。なおベピコロンボはヨーロッパ宇宙機関 (ESA) と 日本の JAXA が協力して進めている惑星探査計画です。ベピコロンボは水星に到着すると2つに分離し、ヨーロッパチームと日本チームがそれぞれ開発した探査機が水星のことをくまなく観測するようです。日本側の探査機は「みお」と呼ばれ、JAXA が行った一般公募で名付けられました。
今回、ベピコロンボは4月10日に地球で初スイングバイを行うため、一度地球にググっと近づくことになります。そうすると大きな望遠鏡を使えば探査機の光を観測できる可能性があり、日本公開天文台協会は “【「みお」を、みおくろう!】ベピコロンボ地球スイングバイ観測キャンペーン” を立ち上げ、阿南市科学センターもこれに参加表明し、4月10日の夜に四国最大の望遠鏡 (口径113cm) で観測する運びとなりました。
当館では10日19時頃から観測スタンバイし、ベピコロンボの通過予測されている空域(南の空約50°の高さ)に望遠鏡を向け、待ち伏せするような形で観測にのぞみました。すると19:30頃には予想域にベピコロンボの光点を捉え、約1時間にわたって観測を行うことができました。冒頭のGIFアニメーションは 19:46~19:50 頃に観測したものです。このとき、ベピコロンボは観測地から約12万km離れたところに位置していたものと考えられます。これから地球を遠く離れ、まずは金星方面に向かい、今年の10月15日と来年8月11日には金星でスイングバイが行われ、そして水星圏へ。この探査機はもう地球に帰ってくることはありませんので、今回の観測で得られたベピコロンボの輝きは、(一般の方も含め)地上から確認できる最後の光だったと言えるでしょう。なんだか寂しい気もしますが、2025年以降はまだ誰も知らない水星の真実を私たちに届けてくれるはずです。コロナウィルスで疲れた日々に、宇宙への思いが少しでも皆さんに癒しを与えてくれることを筆者は願っています。
【参考資料】
・BepiColombo 地球スイングバイ観測キャンペーン(日本惑星協会)
・「みおを、みおくろう」地球スイングバイ観測キャンペーン(日本公開天文台協会)
・水星磁気圏探査機みお(JAXA)
【報道関係の皆様へ】
以下に今回の観測で得られた静止画と、冒頭とは少しだけ異なる空域で捉えたGIFアニメーションの画像を置いています(静止画はクリックするとフルサイズ)。報道機関がこれらの画像を利用する場合は、一度阿南市科学センターまでご連絡ください(TEL: 0884-42-1600)。GIFアニメのフルサイズ(2000×2000)のご要望がある場合も、お手数ですが当館までご相談ください。







【追記 / 2020年4月15日】
阿南市科学センターでは4月14日の晩に、ベピコロンボの追跡観測を行いました。明るさは約18等台と暗かったですが、順調に地球を離れていることがわかります。4月10日から明るさは約1/240となり、10日夜時点で観測地から探査機までの距離は約12万kmでしたが、14日夜には約150万kmに達していると考えられます。水星までの長い道のりはまだまだ始まったばかり。ほんとうに気をつけていってらっしゃ~い!
