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まだ日中は蒸し暑い日もありますが、10月に入り少しずつ夜が涼しくなってきました。夜空を見上げるとペガスス座の胴体部分からなる秋の四辺形を見つけることができます。この四辺形は秋の星たちを探すのにも役立ちます。四辺形の西よりの辺を南の低空へのばしていくと、そこには秋の唯一の1等星フォーマルハウト(みなみのうお座)が輝いています。さらに東よりの辺を南の低空へのばしていけば、くじら座の2等星デネブカイトスを見つけることもできます。秋の夜空は明るい星が少ないので、一見地味に思えるかもしれませんが、じっくり観測をすると非常に面白い星がいくつかあります。

たとえば、くじら座の心臓のあたりにはミラと呼ばれる変光星があります。この星はなんと最も明るいときで約2等星、最も暗いときは約10等星となり、明るさが最大で1500倍ちかく変化する星なのです。ミラという名前はラテン語で「不思議な」という意味があり、昔から天体観測家の関心を集めてきました。ミラの変光は星自身の膨張と収縮によって引き起こされると考えられていて、このようなタイプの星を脈動型変光星と言います。なお2016年の秋は極小期にあたるため、肉眼での観察は難しいですが(望遠鏡があれば見える)、変光周期が約11ヶ月なので数年後には秋から冬にかけてミラの極大期が観察しやすくなるでしょう。

そしてもう一つ面白いのが、ペルセウス座のアルゴルという星です。この星も変光星の一種なのですが、ミラとは変光のメカニズムが異なり、連星という二つの星のペアが一方の星を隠す「食」によって明るさが変化します。このようなタイプの星を食変光星と言います。アルゴルは通常約2等星で輝いていますが、食がはじまるとジワジワと一晩のうちに約3等星まで暗くなってしまいます。この現象を見た昔の人々はとても不気味に感じたのか、アルゴルには「悪魔」という意味があります。なお変光の周期はおよそ2.87日なので、いつ暗くなるのかを知っていれば肉眼や双眼鏡で簡単に観察することができます。以下に10月の極小予報を示しておきます(オススメ日はオレンジ色で表記)。観察のポイントとしては、極小時刻だけを観察するのではなく(暗くなる前の明るさを一度目で確認しておくと良い)、予報時刻の前後5時間くらいを数十分おきくらいに明るさのチェックを行うと良いでしょう。そのとき、周辺の明るさの似た星と見比べると変光の様子がわかりやすくなります。

アルゴルの極小予報(2016年10月; 33時間制表記)

日付 時間 (JST) 高度
2016/10/02 27:07 80
2016/10/05 23:56 62
2016/10/08 20:45 29
2016/10/22 28:50 46
2016/10/25 25:39 79
2016/10/28 22:27 63
2016/10/31 19:16 30

(注)この予報は筆者が独自に計算したものです。あくまで目安としてお使いください。

[追記]
科学センターの発行物「10月の星空案内」が公開されました。秋に見頃をむかえるアンドロメダ銀河の話題などなど、どうぞこちらもご覧ください。